ども!
節約投資家のぱんだマンです。
「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」
それを愚直に実行してきたeMAXIS Slimシリーズが揺らぎ始めています。
三菱UFJアセットマネジメントは今月6日、今後運用コストの引き下げは他ファンドの総経費率で比較できるようになってから判断することを発表しました。
つまり「スリムシリーズよりも低コストな他社ファンドが誕生しても、実質コストが判明する1年後までは信託報酬を引き下げない」ということ。
おぉぉ、マジか…orz
この決定に至った背景としては、
- スリムシリーズが信託報酬に含めている費用をあえて含めずに見かけ上の信託報酬を低く見せているファンドがある
- 投資先のETFコストを含めずに信託報酬を表記するファンドがある
など、一概に信託報酬では業界最低水準の運用コストを比較できないことにあります。
事実、楽天プラスシリーズは「法定書類の作成費⽤」を、Tracersシリーズは「法定書類の作成費⽤」と「指数の標章使用料」を信託報酬に含めずに信託報酬を低く見せることに成功していますからね。
ただそういった事情があるにせよ、2017年のスリムシリーズ誕生から共に歩んできた私としては非常に残念と言わざるおえません。
というのもみなさんご存知の通り、スリムシリーズの魅力はこの「業界最低水準」の信託報酬を常に追求するところにありました。
例え他社が業界最低水準を更新する信託報酬を設定してきても、スリムがすぐさま追随してくれるからこそ私たち個人投資家はただスリムシリーズを保有するだけで常に業界最低水準のコストで運用ができました。
『そのうちスリムシリーズなら同率にしてくれる』
個人投資家との間にこの信頼関係を築けたからこそ、スリムシリーズはここまで純資産額を増やせたわけです。
しかし残念ながら、最近はそれが実行されていません。
見かけ上の信託報酬を低く見せている上記ファンドシリーズならまだしも、ステート・ストリートの「SSGAライトシリーズ」には全く同じ条件でコスト負けですし、ほぼ同じベンチマークに連動するニッセイの「Sシリーズ」にも無反応です。
ファンド | 信託報酬 |
---|---|
ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド | 0.05775% |
ステート・ストリート S&P500 インデックス・オープン | 0.0748% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09372% |
以前だったらまず間違いなく同率に引き下げられていたんですが、現状は最大で1.5倍以上の運用コスト差をつけられる始末。
すでに主要インデックスにおける圧倒的地位を確立したからなのか、追随値下げしなくても顧客が離れないことを見越してなのか知りませんが、以前までのスリムシリーズと変わってしまったのなら非常に残念です。
ただ一方、スリムシリーズが動かなくなることでメリットもあります。
まず他の運用会社にとってこれは「少なくとも1年は対抗値下げされない」ってことですから、コスト優位性を示す絶好の機会になると思います。
今までは頑張ってスリムシリーズを下回る信託報酬を設定しても、スリムシリーズの追随値下げ戦法によって個人投資家は動かず低コスト競争を挑むインセンティブが完全に削がれていましたからね。
また個人投資家にとっても、スリムシリーズの存在感が薄くなることでファンド間の低コスト競争が盛り上がりますから、長い目で見れば良いことなのかもしれません。
現状はあまりにスリムシリーズ有する三菱UFJ国際投信がインデックスファンドの国内シェアを牛耳ってますから、規模の経済が働くインデックスファンドにおいて他社は相当不利な状況に立たされていると思います。
個人的にはこれを機に米国のバンガード、ブラックロック、ステートストリートのように大手3社ぐらいで均衡してほしいですね(三菱UFJ国際投信、ニッセイ、SBIとか)
そしたらスリムシリーズも気を抜けませんし、今後も純資産額が増えるごとに段階的な信託報酬の引き下げが実施されそうですから。
いずれにせよ、今後は今まで以上に総経費率を個人投資家は重視しなければいけません。
総経費率は毎年変動するものですが、実質コスト含め「どのファンドが最も効率的な運用ができているか」一発で分かりますからね。
今後このブログでは主要ファンドの総経費率も積極的に発表していきますので、真の低コストファンドを知りたければ引き続きご愛読いただけると嬉しいです。
以上、スリムシリーズからのちょっと残念なお知らせでした。
それではまた次回!
have a pandaful day
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