ども!
節約投資家のぱんだマンです。
連続増配株式インデックスとして一時期かなり話題となった「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」を覚えているでしょうか?
25年以上連続で増配している銘柄へまとめて投資することで、過去20年超の運用成果ではS&P500をアウトパフォームした実績を持ち、S&P500やナスダック100との銘柄被りが少ないことで個人的にもオススメしたファンドです。
そんなファンドが誕生してからいつの間にか1年以上経ち、気になっていた実質コストなどが判明しましたので共有いたします。
もし自分で確かめたい場合はこちらからご確認ください。
パフォーマンスについて
まずは本ファンドが誕生してから1年間のパフォーマンスですが、こちらは5.3%となっていました(2022年10月28日~2023年11月16日)
まずまずの結果だと思いますが、同期間のS&P500(税引後配当込み、円換算ベース)のパフォーマンスが+20%を超えていることを考えると、ちょっと物足りない上昇率ですね。
また気になるのがベンチマークである「S&P500 配当貴族指数(税引後配当込み、円換算ベース)」との乖離。
いわゆるトラッキングエラーというものですが、運用初期のファンドは純資産額が少なかったり想定以上のコストが掛かったりして大きくなりがちです。
この乖離を「いかに小さくしてベンチマークに沿った運用をするのか」が運用会社の腕の見せ所なんですが、どうやらあまり上手くいかなかったようですね。
運用報告書によると同期間のベンチマークは8.6%上昇しているため、本ファンドのパフォーマンスである5.3%だと3.3%ほどのリターンをトラッキングエラーによって失ってしまったことになります。
S&P500に劣後することは切り取る期間によって全然あることなので問題ありませんが、これだけのベンチマークとの乖離は看過できません。
実際、他の人気ファンドや類似ファンドの第1期運用報告書(一番最初の決算)を見てみてもコレほどの乖離はありませんからね。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)・・・+0.1%
- SBI・V・S&P500 インデックス・・・-0.1%
- iFreeNEXT NASDAQ100インデックス・・・+0.4%
- 米国株式配当貴族(年4回決算型)・・・-0.2%
- 野村インデックスファンド・米国株式配当貴族・・・-0.4%
※ベンチマークに対して±0%が理想的
なにやら『騰落率測定方法の差異によって乖離が発生した』とのことですが、一発目からこれだと今後の運用にも不安を抱いてしまいますね。
実質コストについて
続いて信託報酬を含めた実質コスト(投資家が負担しなければいけない費用合計)のお話です。
投資信託では一般的に運用した後でないと判明しない「隠れコスト」というものがあって、重要なのは『隠れコスト含めて投資家が負担しなければいけない実質コストがいくらなのか』ってことです。
本ファンドはとにかく低コストなことを売りにしていましたし、実際他の配当貴族インデックスファンドと比べても信託報酬は激安です(年0.1155%)
だからこそ今回の運用報告書で隠れコスト含めた実質コストが重要だったんですが、その結果はこちら。
年0.39%…..
信託報酬の約3.2倍はちょっと高いですかね。
ただ類似ファンドと比べると割安ですし、私がメインで投資しているナスダック100指数連動のインデックスファンドなんて年0.39%以上するので『高過ぎる!』ってほどではありません。
ファンド | 信託報酬 | 実質コスト |
---|---|---|
Tracers S&P500配当貴族インデックス | 0.1155% | 0.39% |
米国株式配当貴族(年4回決算型) | 0.55% | 0.577% |
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 | 0.55% | 0.586% |
SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン | 0.605% | 0.66% |
Tracersシリーズで問題視されていた指数の標章使用料についても、他社の類似ファンドより実質コストが安いのであれば瑣末な問題ですしね。
※他社ファンドの多くは指数の標章使用料を運用会社負担にしているが、Tracersシリーズは投資家負担
まとめ
以上が運用報告書から分かったTracers S&P500配当貴族インデックスについてでした。
個人的にはトラッキングエラーが気になったものの、原因が分かっているならあと1年様子見して次回の運用報告書で改めて確認すれば問題ないと思います。
基本的にどんな運用会社でも運用年数が長くなればトラッキングエラーも落ち着いてきますし、純資産額はすでに十分過ぎるほど膨らみました。
あとは運用が正しく行われさえすれば、実質コスト最安なTracersが配当貴族指数における最有力ファンドになりますから、もう少し暖かく見守っていきたいですね。
ちなみに配当貴族指数に似た指数に連動する「SBI・V・米国増配株式インデックス・ファンド」も良いファンドだとは思いますが、情報・技術セクターへの投資割合が最も多くて私がメインで投資しているナスダック100と重複する銘柄が多いんですよね。
配当貴族は組入上位5業種で見ても
- 資本財
- 素材
- 一般消費財
- 生活必需品
- ヘルスケア
と全然被ってないので併せ持つには都合が良くて。
なので今後も配当貴族ファンド筆頭である本ファンドはウォッチしていきたいと思います。
皆さんの参考になると嬉しいです。
それではまた次回!
have a pandaful day
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